• KOJIMA

江國香織著「去年の雪」

最終更新: 7月26日

自分と相性のいい小説を読むと、「1/fゆらぎ」にも似た感覚に包まれます。

最近、この江國香織氏の「去年の雪」(こぞのゆき)を読了しました。

本の帯にあった「100人を超える登場人物」というのはきちんと数えていないけれど、確かに老若男女、いろいろな時代の多数の人物が登場してきます。その人物を囲む、あるときの情景が次から次へと繰り出されて、それぞれが絡み合う展開が続きます。

自分のおよそ50年分の記憶をたどったとき、これまでのある時の場面場面が独立して切り取られて甦ることが多くありますが、ある意味それと同じような物語の展開です。

この物語でも登場人物を巡るそれぞれの場面のなかで、同じ季節、同じ時代、同じ空気、同じ場所(ときには違う場所)で共に過ごす人がいろいろな顔を見せて関係をし合います。その一方、不思議なことに時空を超越して絡み合ったり、この世にいない人の明確な記憶、もう時間が経過しすぎて不明瞭に溶けていった記憶もあちこちに広がります。

読み進み、読み終えてみて、自分の幼少期、青年期を振り返ったような、これからの壮年期の予告編を見るような、さらには死んだ後の無に戻っていく過程を見せられるようでした。同時に、今の時代と過去の時代は、一つ一つが独立しているのではなく、意外にも境目がなく縦横無尽につながっていて成り立っているのでは?と錯覚させるような不思議な読後感でもありました。

今回も「1/fゆらぎ」に包まれました。


#江國香織 #去年の雪

8回の閲覧

©

ソーシャルメディア:

  • w-facebook
  • Twitter Clean

​その他活動